Bookshelf ~今月の本

『キュレーションの時代
―「つながり」の情報革命が始まる』

キュレーションの時代―「つながり」の情報革命が始まる_著:佐々木俊尚

著:佐々木俊尚
ちくま新書

\945/320ページ
発売日:2011年2月7日

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2011/9/15

“キュレーション”が重要性を増す時代


 「キュレーション」という耳慣れないキーワードが目を引く本書。「自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、それに新たな意味を与えた上で多くの人と共有すること」と定義されるこの言葉を軸に、インターネット普及後の情報伝達の変化について論じている。

 本書はまず、無名ブラジル人ミュージシャンの来日公演を大成功させた女性のエピソードから始まる。さらにはTwitterや位置情報を活用したFoursquare(フォースクエア)などのSNS、アウトサイダーアート、果てはモンゴル帝国の政策までも飛び出してくる。やや突飛と感じられるものも含む多くの事例から一貫して語られるのは、マス・マーケティングの衰退と、世の中にあふれる情報を「キュレーション」する人々の存在が重要性を増す時代の到来だ。

 ただ、「キュレーション」という言葉や、その前段で理解が求められる「他者の『視座』へチェックインする」という行為など、鍵となる語句の概念はややつかみにくい。情報に関するパラダイムの変化を大胆に論じようとした結果として、総花的な内容になってしまっている感はあるが、昨今の情報伝達の変化を手っ取り早く理解したいなら、目を通して損はない一冊だろう。

(薬師寺敏雄)