Bookshelf ~今月の本

『メイド喫茶でわかる労働基準法』

メイド喫茶でわかる労働基準法_著:藤田遼_イラスト:オサム

著:藤田遼 イラスト:オサム
PHP研究所

\1200/302ページ
発売日:2011年4月20日

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2011/8/11

メイドと学ぶ!? 労働基準法の基礎知識


 高校3年の夏、文理分けの希望調査に「いやし系」と書いてしまった主人公、緋沙(ひさ)。それから1年後、彼女は秋葉原のメイド喫茶「フリルのしっぽ」で契約社員として働いている。薄給で残業代なし、有給休暇なしの「ブラック企業」と称して過言ではない職場に疑問を抱きはじめた時、ひょんなきっかけで法律をつかさどるという律ノ宮神社の神様の化身の猫、宮野さんと出会う…。

 本書では賃金や採用、解雇、退職、就業規則など、労働基準法に絡む12のテーマが取り上げられる。「フリルのしっぽ」で起こる様々な労働問題がコミカルに描かれる小説部分と、緋沙と宮野さんの掛け合いが軸となった解説パートで構成されている。

 メイド喫茶という意外性の高い舞台設定だが、社会保険労務士の著者による解説はとても明快で分かりやすい。本書で描かれたような問題に直面した場合の解決策や相談先についても、しっかり記されている。小説部分のドタバタ劇も個性的で一風変わった登場人物のやり取りがとても面白く、楽しみながら法律の基礎知識を身につけることができる。

 それから、本書は単なる労働基準法の解説本というだけでなく、高卒時点で取り立てて人生目標がなかった緋沙の成長のストーリーでもある。彼女がどのように変化していくか。それは本書を読んでのお楽しみだ。

(薬師寺敏雄)